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2017/06/02

イヤリングを見るたびに おもいます 縄文時代の女たちとおんなじね

ネックレスをつらねるたびに おもいます 卑弥呼のころと変わりはしない

指輪はおろか腕輪も足輪もありました 今はブレスレット アンクレットなんて気取ってはいるけれど

頬紅を刷(は)くたびに おもいます 埴輪の女も丹(に)を塗りたくったわ

ミニを見るたびに 思います 早乙女のすこやかな野良着スタイル

ロングひるがえるたびに おもいます 青丹(あおに)よし奈良のみやこのファッションを

くりかえしくりかえす よそおい 波のように行ったり 来たりして

波が貝殻を残してゆくように 女たちはかたみを残し 生きたしるしを置いてゆく

勾玉(まがたま)や真珠 櫛やかんざし 半襟や刺子(さしこ) 家々のたんすの奥に 博物館の片隅にひっそりと息づいて

そしてまた あらたな旅立ち 遠いいのちをひきついで さらに華やぐ娘たち

母や祖母の名残の品を 身のどこかに ひとつだけ飾ったりして

『娘たち』/ 茨木のり子(1926~2006)

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この写真の日傘はモデルのシオンちゃんのお祖母様のをお借りして撮影しました。

素晴らしい週末になりますように。


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